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「すみません、またごちそうになってしまって」


「いやいや、元々そのつもりで誘ったから。それにこっちこそつき合ってくれてありがとう」


「そんなっ、送ってまでいただいてありがとうございます」


「昨日もそうだったけど、ここで本当に大丈夫? 暗いし、家の前まで送るけど?」


「大丈夫です。ここからなら歩いて5分もかからないので」



そう言って私は丁寧にお辞儀をした。


家の前まで送ってもらって、万が一お義父さんが現れたらと思うと、私は背筋が凍りそうだった。



「家までは来られたくない、か……」



勉さんはなにかをボソリと呟いたが、



「えっ? 何か言いました?」



私はその言葉を聞き取れず、頭を上げて聞き返した。


だけど勉さんはただ柔らかく微笑んだだけだった。