「……弁当、やらんで?」

「っ、直します直しますそれだけはーっ!」


スパッと素晴らしい早業で胡座を解き足をまげた、所謂女座りというものをする。

友香里にとって弁当はなくてはならない存在で、これが午後の授業、ひいては部活に影響するのだ。

その影響力大の弁当を毎朝手作りして持ってくるのが彼氏の天斗の役目である。そのため、弁当の主導権は彼にある。


「…何でこんな座り方……」


不満を口にすると天斗は目が笑っていない顔で口角を上げて一言。


「弁当」

「スンマセン」


脅すと、ムスッとした顔をしながらも彼女は見事な棒読みで謝る。

天斗は疲れたような息を吐いた。


(…ほんま、もう少し女やって自覚もってほしいわ)


友香里は今まで女扱いというものを受けたことがないからか、言動も行動も全てが男っぽい。

それに加え。


「あー…、あの子めっちゃっ可愛いっ。守ってあげたい」


うっとりとした表情で女の子を見つめて呟くのだ。


(中身まで男かっ!)


毎度ツッコミたくなるのは関西人の性。仕方がない。

彼女曰く、女の子は天使らしい。