大嫌いだった

無駄に明るい金髪も

海のようだと言われる青
い瞳も

自分の事が嫌いな私も…

大嫌いだった




「なんとか言えよっ!」

またここか
1日のほとんどが日陰の校舎裏の壁は
いつも冷たい


「おい。聞いてんのかよ」

うるさいな
人を殴りながらじゃないとこの人達は人に話も聞けないのだろうか

「人の彼氏奪っておいてなにその態度っ!」

そう言うと一人が泣き出した。
友達であろう何人かがありきたりな言葉でなだめ始める。

あなたの彼氏のことなんて
顔すらわからないんだけど

何度も見てきたそんな光景をぼんやりと眺める
すると急に視界に興奮した女の顔が割り込んで入ってきた

あぁ髪をつかまれたのか


「男がキレイキレイ言ってるその髪も、目の色もなぁー」

「キモいんだよ」


知ってるよ

そんなこと自分が1番よくわかってる

きっとこの人たちは

最近私に告白してきた
男の彼女だろう
何回目だろう

こういうの…


もう どうでもいい

「何やってんだ」

男の人の声?

ゆっくりと誰かが近づいてくる


「おい。何やってんのか聞いてんだけど」

低く、静か
でも怒りのこもった声

なんて迫力のある人だろう

目の前の顔すっかり青ざめ
後ろで泣いていた人達も足を震わせている

「あ…えっと ちっちがうの」
「失せろ」

その一言でその場にいた
私と彼以外の人たちは
逃げるように立ち去っていった

「大丈夫か?」


凛とした黒い瞳が私を覗き込んだ

黒くさらさらの髪

暗く、冷たい校舎裏に
この時間は太陽の光が入る
そんな光が木の葉のすきまから彼を照らした


「おい」

心配そうに眉間にしわを寄せる彼は

恐ろしいくらい

美しかった