「由希、悪いんだけど、付き合ってくれない?」


ダメ? とすがるようにお願いされ、ノリ気ではなかったものの、しぶしぶ引き受けた。

可愛い加奈のこのポーズに滅法弱い。


「それにね、一緒にくる宏人、結構イイヤツなのよ。もしかしたら由希のタイプかもね」


楽しそうにウインクしてみせる加奈の言葉を聞きながら、


ヒロト―――


その名前を頭の中でつぶやき、

その日は晴れるかな…なんて考えながら、空に広がる薄雲を見上げた。