夕方になると、遠くに連なる山の頂上まで傾いた朱色の太陽が、高い空を見事なまでにオレンジ色に染め上げた。

それを合図にふたりで立ち上がり、少し冷たくなった手をつないで、駅までの道を歩いた。

その朱色に光る大きな太陽も、

深く広く染められたオレンジの空の色も、

寄り添い長く伸びるふたりの影の形も。




あたしはまだ―――覚えている。




今日と同じ明日が続けばいい。

右側にある少し見上げるあなたの横顔を見つめながら、

あの頃あたしは、そう願っていた。




なのに―――――




もう時期3度目の秋が過ぎようとしている。


そして宏人が消えて……

あたしの右側から居なくなって……


3度目の冬が訪れようとしている―――