今日、俺達に家族が増える。

嫁の(男だけだ)舜が
子供を産む。

最初は反対した……

リスクが大きいからだ。

しかし、舜は宿った命を
消せないと言った。

泣き笑いな顔で
愛おしそうに
お腹を摩って居た。

そして、生まれたみたいだ。

中から看護師が
出て来て、舜の家族を
捜してるようだ。

「名波さんの
ご家族の方は
いらっしゃいませんか?」

少し離れた椅子に
座ってた俺は小走りで
看護師の元へ向かった。

「俺が旦那の喜市です」

「おめでとうございます」

中年の看護師は
興奮しながら俺に言う。

「元気な女の子ですよ」

「あの、舜は?」

子供も大事だが
舜の体が心配だ。

「病室に居ますから
ご案内しますね」

階段を上る看護師に
着いて行き、
〔302〕と書かれた
個室の名札に
〔名波舜様〕とあった。

「舜、起きてるか?」

寝てるかも知れないから
一応、声を掛けてみる。

「奈冴、起きてるよ」

良かった、声を
聞く限り、元気そうだ。

「入っていいか?」

「大丈夫だよ」

中に入ると、舜の隣に
子供が寝ていた。

触れたら壊れそうな
小さな小さな、赤ん坊が。

「女の子だよ」

俺が聞く前に舜が教えてくれた。

さっき、看護師が教えてくれたけど(笑)

「名前、考えなきゃな」

どんなのが良いだろか?

「そぉだね」

子供の顔を見ながら二人で悩んだ。

**一ヶ月後**

今日は舜と由佳吏が
家に帰って来る。

二人で悩んだ結果

[由佳吏]になった。

舜は[ゆ]の付く
名前がいいと言って、
俺は[り]の付く
名前がいいと言った
結果が[由佳吏]だ。

漢字は色々調べてこの字にした。

ガチャ

「ただいま」

舜の声がして玄関へ向かうと
由佳吏を抱っこして
タクシーから荷物を降ろしてるところだった。

「連絡しろよ」

ぇへへと笑いながら
運転手に代金を
払って家に入った。

**四年後**

由佳吏は四歳になり
幼稚園に通って居る。

そして、舜のお腹には
新たな命が宿っている。

END