もうすぐ日が暮れる。

 わたしは緋色の家まで送ってきていた。

 本当ならわたしの家はまだ手前で、
 途中で別れてもおかしくはないのだけれど。

 ちょっとの間でも心配で緋色を一人に出来ず、
 いつも送り迎えをしている。

 どうも気分は母親のようで・・・

 目を離すと、何が起きるかわからない気持ちにさせられ、
 はらはらする。

 過保護だなという自覚はあるけど、緋色だからね。 
 そう思うのも仕方がないと思うのよ。


  
 そろそろ帰ろうかと思っていた矢先、
 
 その声は聞こえた。



「緋色」

 幾分低い優しい声音。

 聞き覚えのある声に振り向くと。



 ――――彼が立っていた。