そのまま続く、しばしの沈黙。


――最終的に、口を開いたのは俺様だった。



「戦いたいのなら、全力で受けて立つぜ」



俺様の言葉に、ガンツはうつむかせていた顔をハッとあげた。


見開かれた藍色の瞳に映るのは、迷子のように不安げな光。



「見失っているのだろう、強くなるべき目標を。戦うべき意味を。誰よりも強くなってしまったが故に。

―――それならば、もう心配はない。俺と、セリナがいる限りな」



それは、ただの直感だった。


この男は、自分より強い者に出会いたがっているように、クリュウの目には映ったのだ。


男の瞳が、一年前のセリナのそれと全く同じ――不安げな瞳をしていたから。


……ガンツは、長い間黙っていた。


そしてしばらくすると、黙ったまま静かに一礼してその場で踵を返す。



(セリナのやつ、モテモテだな……)



ただし決闘に限り、だが。


オレンジジュース早飲み選手権なるものに参加しておるセリナを横目に見つつ

そんな事を考えていると、クリュウの名前を呼ぶものがいた。


顔を上げると、先ほど話していたアレン委員長がいた。