「親にどれだけ成長したのか見せる日なのよ」


お洒落はきっと関係ないと思うけど、そんなことを言ってしまったら怒られるだろうから頷いてみた。


「梓も。髪、結ばないの？服も、もっと可愛いのとか」


そういえば、そんなこと気にしてなかったなぁ。

髪は下ろしたままで、服はTシャツにスカートだけど…。

皆の服を見てみると、有名ブランドのようだ。



「梓、これで髪結んでみなよ！」


花柄のシュシュを渡されて、戸惑っていると花ちゃんがまた溜息を吐いて私の髪に手を伸ばした。


「はい、これでいいわ」


鏡を貸してもらって見てみると、髪を結んだ見慣れない自分が映っていた。


「似合うよ、梓！それあげる」


唯香ちゃんが手を叩いて笑った。

嬉しくて何度も鏡で見てみた。


可愛い、こんなのは初めてだ。


唯香ちゃんからシュシュの作り方を聞いて、家で作ってみることにした。




学校から帰ると、早速、貰ったハギレなどで作る。

案外、簡単なもので彼が帰ってくるまでに４個作れた。


お洒落をしたいと初めて思えたからかな。


彼にもシュシュを見せると、最初は何だか分からなかったようだが、すぐに気が付いて可愛いと言ってくれた。


「そうか、今の子はお洒落だもんな。ごめんな、男だとそういうのは疎くて…」


『いいの、皆に教えてもらってるから』


自分で作れるのってすごく嬉しいし、楽しいの。

今度は何を作ろうかなって、楽しみが増えたから。