「自然の状態で料理した時の細菌量ってどれ位有るのか知ってるのか?」

リンダは再びブチ切れそうです。怒りがずど~んとこみ上げます。

「知るかそんな事、あたしはメイおばさんの料理で此処まで育ったんだからねっ」

メイおばさんの事まで悪く言うのは、いくらミルおじさんの親友の息子だからと言って許す事は出来ません。この場で土下座して謝って欲しいと思ったのですが南はふっとリンダから視線を外し…

「体が受け付けないんだ。細菌に極端に弱くてな。滅菌処理した物しか食えないんだ、俺…」

そう、ちょっと寂しそうにそうに呟きました。

そして彼は再び部屋のドアをぱたりと閉めて部屋に引きこもってしまいました。


残されたリンダは、ちょっと心が痛みました。


ひょっとして南は何か重大な病気で、その療養も兼ねてこの牧場に来たのでは?そう考えたのでした。彼の自己中心的な行動も、肉体労働をしないのも、ひょっとしたら、病気の性で牧場の仕事は、したくても出来ないのではないか…

そう考えると、彼の行動も納得出来そうな気がします。

だとしたら、リンダは彼を酷く傷つけた事に成ってしまいます。心がずきんと痛みました。自分はひょっとして思いやりの無い、物凄く嫌な子なんでは無いのかと思ってしまったのでした。