「呼び出しておいて、遅かったじゃない?」
「そうか?早く来た方だろ。」

校門で俺を待っていた奈美恵は、待たされたことに不満を口にした。


「まぁ、いいわ。で、遊んでくれる気になったの?」
「……………」
「ふーん。」



無言の返しに奈美恵は微笑んだ。



「やっぱり律樹はそうじゃなくちゃね」


なんて言いながら、奈美恵は隣に並んだ。



「……もう少し高いかな。」
「え?」
「いや、何でもない。」
「じゃあ行こう。」



歩き出した奈美恵は俺の腕に、自分の腕を絡ませる。



俺はその行為を見て思った。


景なら恥ずかしがってやらないだろうなって。



逆に俺がやったら……

真っ赤な顔して慌てんだろうな。



「……ふふ」
「どうしたの?急に笑って………」
「別に気にすんな。」
「ふーん……」



甘いものが食べたいと奈美恵は駅前に向かって歩みを進めた。


そう言えば景は甘いものは好きだっただろうか?

道中そんな事を考えていた。