「うわっ。もうこんな時間?いってきます!」


そう言って美利亜は家を飛び出した。


「美利亜、前髪!」


水月は叫んだが、美利亜は全然聞いていなかった。


     ****


学校へ入っていく人を見て、美利亜は何か変だと思った。


色がないのだ。


ほとんどの人が黒や灰色で、美利亜のような格好をしてる人がいない。


―今、登校してる人にはいないのかなぁ。―


ちょっとのんきなことを考えていた美利亜だったが、担任に連れられて教室に行く間に通ったクラスを横目で覗いて見ると


―やっぱり、黒とか灰色ばっかだなぁ。ヤダなぁ、ちょー目立つ。―


そんなことを考えていたら、いつの間にか教室に着いた。


廊下で待っていると


「入れ。」


と先生の声が聞こえた。