でも、あっさり俺の位置は奪われた。
七瀬には、女の友達がいたほうが良かったのかもしれない、
でも、いつでも俺が一番でいたかったんだ。
それは、郁馬にだけ話した。
「満、柊花はあくまで、七瀬の友達。それ以上になることはないよ。」
郁馬はにっこり笑いながらそう言った。
確かにそうだった。
でも、
俺は七瀬の友達でも何でもいい。
隣で笑いたかった。
よく、クールだって言われるけど違う。
七瀬以外と笑いたくないだけだった。
「満―?」
話しかけてくる、七瀬の頭をそっとなでる。
きっと柊花の話だろうと思ったから、
そんな話されたくなかった。
「満、お腹すいた―。」
「クレープ食べたいってか?」
「よくわかったねー☆流石私の幼馴染ー。」
幼馴染。そのくくりが嫌いだった。
他のやつより特別でも、逆に嫌な位置。
クレープ屋に入り、俺は紅茶を頼み、七瀬は、苺チョコクレープを選ぶ。
毎週水曜日に苺チョコクレープを買っているためか、
店の店員が、紅茶と苺チョコクレープをすぐに準備してくれる。
「ん~っ、やっぱ最高だね。ここのクレープっ。」
「ふふっ、ありがとう。」
商店街の裏路地にあるため、知る人ぞ知る名店ともいわれる、この店。
実は、睦月さんの彼女が店長だったりする。
従業員、計3人の小ぢんまりとした、、クレープ屋でありながら、
表の路地に面する方ではカフェとしても経営し、
裏路地のほうではクレープを売る。
ちなみに本業はクレープ。
カフェも人気だけど。
特に、店長である、珠里さんが作るデザート。
「珠里さん、調理師免許とか持ってるの?」
七瀬が無邪気に聞く。
店を開くくらいだから当り前じゃないかと突っ込みたくなるのを我慢し、
黙って聞く。