「乗って。」



助手席のドアを雅巳君が開けて私がゆっくり座るとドアを閉めて、彼も車に乗り込む。



「……ごめんルイ。泣かせるつもりだったのは本音だけど本当に泣かれると少し心が傷む。」



「いいよ。周り気にせず泣く私が悪いから。」



「本音じゃないでしょ。」



「本当だよ。」



「自分が悪いイコール悲劇のヒロインだからみたいなイメージだから、あんまり自分を責めないでよ。」





少し走ろうかと静かなエンジンで車を動かす。



慰めるのか、けなすのかどっちかにして欲しい。



「タバコ良い?」



うんと頷くと、車内に置いてあるタバコにジッポで火をつけて煙を吐き出す。
慣れている吸い方に、20歳から始めたタバコではないなと鼻をすすりながら思った。




「ルイは吸わないの?」



「タバコは身体に悪いから。」



「ODがよく言うよ。」



「ん?何それ?」



「オーバードース、過量服薬。まぁ現実逃避とかでよく使う言葉かな。」



私にしたら眠剤や安定剤を処方された時点で現実逃避だけど。