「償いにはならないが、お前が出ていくまで家賃や光熱費は此方で払っておくから。お前が会社に行ってる間に俺の荷物は片付けておく。お前が一生此処にいるなら一生此処の家賃と光熱費は払っていくつもりだ。本当に…すまない。」








土下座をしようと思っていたのに、彼が床に頭を擦り付けている。



2LDKの新築アパート、オール電化、各部屋に暖房設備、冬の電気代は高いと二人で苦笑いしていたね。ソファを二つ。彼と私のテリトリーを決めていた筈なのに、




「ルイの場所はそっちだろ?」


「優ちゃんの隣が私の場所だよ?」




こんな状況で思い出すのは何故だろう。


終わりを告げられた今この状況で、何故幸せだった時間を思い出すのだろう。






目を瞑ると、雨のようにしたたる涙。伏せてしまいたいこれから先始まる絶望の一歩が着々と進んでいった。






優ちゃんは、家を出ていった。






ライトブルーの香りすら残さずに。