「翔さん、こいつのこと、りーって呼んでやってください。喜びますから」


いきなりなつがあたしの首を腕で絞めてきた。


「ぐえっ。ちょっ、あんたなんてこと言うのよ!」


こいつ、調子に乗り過ぎ!


「か、翔さん、気にしないでください! こいつ、すぐ調子に乗るんで!」


慌てて訂正するあたしを見て、翔さんがくっくっと笑いをこらえている。


「いや、いいんじゃない? 可愛いよ」

「へっ……」


それは何に対してですか?


「りーって、呼んでもいい?」

「あ、あたしですか?」

「当然」

「す、好きなように……」


なんかあたし、可愛い呼び方をもらったらしい。


恥ずかしくなって、あたしはそれからまともに翔さんの顔を見ることができなかった。


緊張してたし、きさくに話しかけられるなつをいいな……と思うのはなんで?