麗菜はそう言うと、自分の家に向かって歩き出した。誠も自分へ家へと向かう。

「フー……」

ゆっくりとため息をつく誠。誠は家に着くと、玄関を開けた。秋子の姿が目に入る。

「おかえり」

「ただいま」

誠はそう言うと、二階へ上がろうとした。

「誠」

そのとき、秋子が声をかける。誠は秋子の方を振り向いた。心配そうな顔をしている。きっと昨日の、誠が暴れていた音や声が聞こえていたのだろう。

「お母さん…心配せんといて。全部、解決したから」

誠は笑顔でそう言うと、二階へ上がって部屋の扉を開け、中に入った。制服を脱ぐ誠。そのときだった。

プルルルル、プルルルル……

携帯電話が鳴った。

「うん?」

誠は上半身が裸のまま、ポケットに入った携帯電話を手に取った。サブ画面に、『麗菜』と出ている。

「麗菜?何やろう」

誠は、通話ボタンを押した。

「もしもし!誠か!」

受話器の向こうから、なにやら慌てた様子の麗菜の声が聞こえる。

「おう、麗菜か?何、慌ててんねん。どうしたんや?」

「日記帳!日記帳、見ろ!」

とにかく、慌てる麗菜。誠は日記帳を手に取ると、眺めた。

「何や?日記帳が、どうしたんや?」

「ルールや!ルールのページや!」

麗菜に言われるがまま、誠は日記帳のルールのページを見た。



「……え?」


誠は、手に持っていた携帯電話を落とした。