「うんっ♪ありがとー☆」

燐は嬉しそうな顔で飛び上がった。
こういうところが可愛いのよ…。

燐の可愛さは反則だと思う。
大学3年なのに、凄く純情で。
ほっといたら怪しい人に捕まっちゃいそうな、仔兎みたいな感じ。
背も小さくて、小動物みたい。
燐とは大学からの付き合い。
入学式当日に同い年の男からナンパを受けてて私がナンパ男を追い払った。
それからというもの、燐は私の傍から離れなくなった。

私にしてみれば、燐は可愛い妹。
そんな可愛い妹を危ない飲み屋に一人で行かせられないじゃない!!

「じゃ、また後でねっ♪」

燐はバイバイーッと元気良く私に手を振ると庭から出て行った。
ふぅ、と私はため息を吐く。
ホストとか…一番近寄りたくない。
元々、私は目立つのが嫌いだ。
だから、目立つ奴も嫌い。
一緒に居るだけで、目立つから。

「あーずさっ♪」

ポン、と肩に手を置かれ私は振り向く。

「和人…。どっから沸いて出てきたの?」

彼は白石和人(しらいし かずと)。
茶髪に180を超える長身。
元気で明るい私の幼馴染だ。
他の子達から言わせると『カッコイイ』『モデルみたい』だそうだけど。
私には、小さい時のまま、身長がデカくなったとしか思えない。

「ココからw」

和人はレンガの地面を指差す。

「バッカだぁ…。ついにアンタ、脳みそまで溶けた?」

「ちょw酷いよ、ソレw で、さぁ。」