「そう言う麗菜は、進路どうするんや?」

「あ?」

「進路はどうするんやて言うてるんや」

「俺は、大学行くんや」

「は?お前が?」

二人は校舎に向かって歩き始めた。

「せや!大学行く!かっこええやろ?」

「アホか。お前みたいなアホがどこの学校行けるんや?」

「ボケ。俺は、推薦や」

「あ、その手があったか」

麗菜は幼稚園の頃からずっとテニスをしていて、全国大会個人で2位の実績を持っているのだ。

「ええよなぁ、お前は。俺もテニスしとけばよかったわ」

頭を掻きながら誠が言う。

「アホか。誰にでも推薦来るわけちゃうわ。俺は優秀やからや!」

「あっそ」

「ほんで、お前はどうするねん?」

「あぁー…俺、どないしよかなぁ。全然考えてないねん…」

「まぁ、そんなことやろうと思っとったけど…でも、もう9月やぞ?そろそろ真剣に悩まな…」

「わかってるんやけど…。よっしゃ決めた、俺も大学行くわ!」

「はぁ?何や、急に?」

「大学行くって言うてるねん!」

「誠、お前本気で言うてるんか?何でいきなり大学やねん?」

「やりたいことないから、大学行って探すことにするわ!」

「何やねんそれ…ってゆうかもう9月やで?今から勉強したって無理やて」

「大丈夫やて、やれば何とかなるもんや!」

「むちゃくちゃやな…まぁ、頑張れよ」

と、麗菜が誠の肩をポンと叩く。

「あ?何やお前、俺ができへんと思てるんか?」

「当たり前やんけ」

「あ?ナメてんか?」

誠が麗菜の胸ぐらをつかむ。

「お、何や、やる気か?」

麗菜も誠の胸ぐらをつかんだ。

「上等やんけお前」

「何やコラ、かかってこいや!」

誠と麗菜は校舎の前で、大声を上げながら冗談半分の喧嘩を始めた。

「コラー!何やっとるか!」

そのとき、日光をよく反射しそうなハゲ頭の教師が走ってきた。

「ゲッ、教頭や…逃げるぞ、麗菜!」

二人は全力疾走で校舎の中に走って、急いで教室に入った。

「ボケ!俺、次喧嘩見つかったら退学や言うてるやんけ!」