泣いたってしょうがない。
そんなこと分かってる!!
百歩譲って、あの女教師が何とも思ってなくて、ただお辞儀をしたのなら、私のこの涙の理由は何?
私は、女教師の彼女面が嫌だったんじゃない。
確かに、嫌ではあったけど。
腕とか絡ませちゃって腹を立てたけど。
でも.......
...彼は。
私に何も言わなかった。
多分、私の涙の大きな理由はソコ。
とりあえず彼女だよ?
どんな言葉が正解?と聞かれても困るケド、もうちょっと何かあったでしょう?
期待を持って振り返っても、先輩の姿も、もちろん彼の姿も無くて、周りの目線が痛い。
まぁ、見た感じ東京もんって分かるだろうし。
いい歳の女が一人で泣いてたら、それはそういう目線になるわな。
「おねーさん。
何、泣いてるんですかぁ?」
言葉にピクリと反応して横を向くと、制服を着た一人の男子生徒が、お土産のお菓子を食べながら話しかけてきた。
「こんなところで、美人なおねーさんに会えるなんて。
修学旅行も馬鹿にするもんじゃありませんね」