辛かった…皆に冷たくあしらわれて仕方がないのはわかってるけれども…
自業自得なのもわかっている…だけど、だけどこんなに素っ気なく仲間から切り離されては辛すぎて身が重かった。
目の前に横たわる胸元に数回刺された姿で最後の一刺し、ナイフが刺さったままの状態で横たわっているアリスを見てより、絶望感を味わった。

違う、違うんだ……
そう否定したって誰も耳にしてはくれないし、逆に責め立てられるんだ。

「あんな奴が仲間だなんて…。最悪よね?」

仲間関係なんてあっさりと、脆く崩れるもんだ。関係なんてあったとしてもどうせ簡単に潰れる
例えば友達の陰口を叩いてたらその子が現れて聞かれた、なんてなったらあっさりと潰れるもんだ。
どうせ、俺にとっちゃ関係なんだろうけれども…
一つだけ、潰れないでほしいのがあった。

帽子屋……真横に立つその人だけが最後の頼みだった。


背筋に来るこの寒気と胃を引っ掻きまわしたようなこの気持ち悪さ
何かを予想しているように見えた。

「んだよ…?」

真横にいた帽子屋を見れば俺はすぐに目をそむけた。
いつも通り優しい声に少し遠回しの訊ね方、そんなあの人が大好きだった

今も変わらず、ずっと…ずっと。

そう思ってたけどふと帽子屋の口から出た言葉が俺にとって更なる恐怖を与えてくる物だった。

「誰だろうなぁ、こんな最低な事した奴…。俺の大切な…大切な人を傷つけた奴はよぉ?」

ドッと背に来る罪悪感と苦痛な気持ちが今にもその言葉によって押しつぶされそうだった。
言い訳したくない、素直でいたい…
だけど、こんな状況で綺麗事なんて口にしたって寄り虐められるだけだ。
なら逃げたい、現実から目をそむけたい
それは臆病者がする現実逃避だ。