「ふざけないでっ…。」


「あれ、ですか…、記憶を消したことですか?」


「……ッ。」



楽しそうに口角を上げるハルルをキッと睨みつける。


「仕方がなくやったんです。姫乃様がお帰り頂く為に。」


「そんな事しなくても…私がっ、国を捨てる訳無いっ……!」 


「さあ、それはどうですか…ねえ。まあ、どっちにしろ私が少し記憶を弄っただけで姫乃様を完全に忘れてしまったのです。それ程度の仲、だったという事ですよ。」


「……で、も、まだ…」



私はハッキリと否定する事が出来なかった。


だって、それが事実であるのだから。