でも…。



「ごめんなさい」



あたしは深々とあたまを下げて謝罪した。



「なんで?乃愛ちゃん彼氏いないよね?」



「いない、ですけどっ」



とまどいながら付き合っている人はいないことを告げると、目の前の彼はズイッと顔を近づけて来た。



ち、近すぎる……。



「じゃあいいじゃん。ね?」



「でも……ごめんなさい」



告白してくれるのはうれしいけど……あたしは東川くんのこと全然知らないし。



第一、東川くんの存在もつい先ほど知ったばかりだ。



それでいきなり「付き合ってください」と言われても……うまくいくとは到底思えない。