「葵くん、起きるのおそいよ。」

あたしは少し爆発気味な髪のままピカピカのローファーをはく。

「行ってきます」

「いってらっしゃ~い」

雷姉が手をふってくれた。…雷姉も急いだ方がいい気が…。

だけど、あたしも人の心配してる余裕なんてないのだ。

初日で遅刻なんてヤダ!

注目あびるし、恥ずかしいしヤダヤダ!!

涙目で走っていると、ランドセルをしょっている男の子に睨まれた。

こ、こわっ…。

家から歩いて6分の駅に今日は3分で着いた。

そして、とまっていた電車に駆け込んだ。

あたしが乗り込んだ瞬間、ドアがしまった。

ブルルッ。

危なかった…。

次の電車だったら、学校は駅から歩いて20分ほどかかるからこれに間に合わなかったら大遅刻するところだった。

でも、もし乗り遅れてたら…という考え

からの冷や汗なのか、

走ったせいの汗なのか分からない

汗が流れた。


「おはよー。」

ポンッとあたしの背中をたたいたのは中学からの友達の

モチヅキセラ
持月世羅ちゃん。

いつも明るくて中学の頃から男子にも、女子にも人気だった。

ネガティブ思考なあたしとは反対にポジティブなのだ。

「おはよ、ごめんね。寝坊して時間ギリギリで電車乗っちゃった。」

「ホームで待ってたけどこないから、あら~?って思ってたよ~。」

「お姉ちゃんたちもあたしのこと忘れてたのかな。」

「ゆきらちゃんたち起こしてくれなかったんだね~。どんまい!」

走っている時、男の子になぜか睨まれたし、この高校三年間不幸な事の連続だったりして…。