やがて曲がり角から何人もの人に付き添われ、白無垢を着たお小夜の姿が目に入ってくる。









春の陽に祝福を受けたその姿は誰もが見惚れるものだった。









「見てごらん!なんて綺麗な花嫁さんだろうか」





「あぁ、本当だねぇ」















お小夜の姿がだんだんと近づいてくるにつれて胸の奥がじん、とする。













顔をみれば話たいことはいくらでもあるのに、喉につかえて言葉となって出てこない。















「お幸せに…」






それが精一杯だった。










すれ違うときお小夜が小さく頷いたきがした。











花嫁は駕籠に乗りこんでいく…






列が進み始め、やがてその姿が見えなくなった後を名残惜しそうにお市は見ていた。