「約束、ちゃんと守ってね?」
「え?」
 創星はそう言葉を閉じると、詰めた距離をさらにぐっと近づけ、神妃の唇へ軽く自身の唇を重ねた。
 神妃は突然訪れた軟かな感触に、目を白黒させる。
――今、創星は何をしたの?
 神妃が答えを出す前に、目の前にいる創星の体がぐにゃりと歪んだ。
「え?」
 錯覚かと瞬きをしてみるも、創星の体がひしゃげて見えるのは変わらず、水飴の様にぐにゃぐにゃと創星の体は捻じれる。
「ええええええええええ!!?」
 一種のホラー映画の様な状況に、神妃はがたりと音を立てて椅子ごと後ろへと引き下がる。
 そして、その数秒後に不思議な現象は消え失せて、人の形をとったと思ったら、神妃の目の前に立つのは見慣れた姉の姿ではなく、姉と同じ笑顔を浮かべた全く知らない青銀髪の深い藍色の瞳を持った長髪美青年だった。