車の音。

人の行き交う声。

バイクのエンジン音。





「お客さん。新書入ってますよ。」

ビクッ。


私はそーっと顔を上げた。


『勘違いでありますように。』
などと言う陳腐な願いが叶う事はなく、声の主は彼だった・・。


「カゼカミさん・・・・・。」


ゆっくりと顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、予想外な彼の表情で、明らかな驚きと嫌悪感が滲んでいる。


訳がわからずそのまま彼の表情を観察していると彼はズイッと近づいてきて・・

フワッ


彼の白く細い両手で優しく頬を包まれた。