千鶴の周りがやけに騒がしい。

「誰かといるの? カラオケ?」

「あ、にゃ。家の近くで友だちに偶然会っちゃって。次、私の番だから。きるにゃりん!」


乱暴に電話が切られて、だけど明るい千鶴の様子にほっとして美津子は受話器を置いた。



「千鶴ちゃん?」

すぐ横でテレビを見ていた美津子ママが顔を上げた。

「……うん」



リビングに電話があるせいで、家族に会話は筒抜けだ。