夜空に響く笛の根は魔を呼ぶ事が有る。類稀なる笛の音はまごう事無き魔の物を呼び寄せたのだ。その姿を見た少年は伸びやかな音を奏でる笛を収め、その美しさに言葉を失った。



「――そなたは……」



銀色の髪の毛と透き通る様に白い肌、艶やかな深紅の唇はこの世のものとは思えない程煌びやかで漆黒の瞳は宇宙(そら)の色を映し出している様に感じられた。


人としての生は一夜限りの夢の中。後に残されるのは来世に繋がる血の記憶……


「もののけか?」