私が顔をあげると同時にその足音は横を通りすぎる。

振り返って足音の主を見ると、私は静かに息をはいた。



「…夏輝先輩。」


「ん?…あ、雪乃ちゃん!」



校舎裏に着き、ベンチに座っている夏輝先輩に声をかける。

先輩はにっこり笑うと手で“おいでおいで”をした。



「先輩、また告白されたんですね」


「…あはは……」



先輩の隣に腰掛けながら言うと、乾いた笑い声を出す先輩。



「でも今日は泣かれなかったよ!」


「…今にも泣き出しそうな顔でしたけどね」