「あっ……ねぇ、今何時?」 「20時35分」 「あと25分しかない……」 駅前の花屋さんは21時閉店だったはず。 やっぱりここで泣いてる場合じゃない。 「さっきは……ありがとね。あたし、今から行く場所あるから」 本当はもう少しだけ喋っていたかったけど、仕方がない。 あたしは彼に微笑みかけると勢いよくベンチから立ちあがった。