煙草を灰皿に押し付けたと同時にリビングの扉がゆっくりと開いた。





扉の方に目を向けると莉奈が驚いた表情で俺の方をじっと見つめていた。






「もしかして…凌ってホストなの…?」






いつもの俺なら自分がホストだという事を隠そうとなんかしなかった。





むしろホストという肩書きを女を引き寄せる為の材料としていた。





でも、こいつには幻滅される様な気がして…何故か恐怖すら感じている自分がいた。






人に嫌われる事など今まで気にかけた事すら無かった俺が…今さらそんな事を気にするとは自分でも信じられねぇけど。






「…ホストに見える?」





なるべく平静を装いながら莉奈をからかう様にして訊ねた。




俺は何も気にしていないと思わせる為に…






「…うん、ちょっと」





俺の冗談混じりの言葉に莉奈は遠慮がちに…それでいて真剣に答えていた。