No.1という地位も…


有り余る程の金も…



望むもの全てを手に入れたはずだった。






全てを手に入れれば幸せになれる…何かが変わるかもしれない…そんな甘い考えを抱いていた。




でも現実と理想は掛け離れたもので、幸せになるどころか俺はどんどん汚れた人間になり闇の住人へと変貌した。




今の俺には幸せが何なのかさえ分からない。







俺はいったい何を手にしたいのだろうか。




金か…女か…愛か…夢か…






例え全てを手に入れたとしても今の俺が満足することは決して無いだろう。




大抵の人間は何が欲しいかと聞かれれば"金が欲しい"と迷わず答えるだろう。





でも俺はそれ程までに金が欲しいという訳でも無かった。






この街で生活を続けた俺は、いつしか人間の欲しがる当たり前の物を必要としなくなっていた。