「いやぁ、柚姫ちゃんは笑ってると格別に可愛いねぇ。」
あたしを見て、原田さんはあたしの頭を子供みたいに撫でる。
可愛くなんてないです。
そんな意味を込め、苦笑いを浮かべて両手を顔の前でふる。
そんな時。
「勝手にベタベタ触んないで下さい。」
ひやりとした口調で暁くんが原田さんの手を振り払った。
「なんだよ。お前の許可取らなきゃダメなわけ?」
「…俺じゃなくて柚姫ちゃんに取ってください。」
「ちぇーっ」
やっぱり子供みたいな二人が、可笑しかった。
その刹那。
ガチャリ、と重い音が店の中に響いた。
聞いたことのある音。
お店の、あの重い扉が開くときの音だ。
「やーっと来たな。」
ふっ、と原田さんが楽しそうに笑った。
まるで、みんなが集まるのが待ち遠しかったみたい。
きっと原田さんも、Rain のバンドの人たちが好きなんだ。
「ちわーっす。」
「原田さんこんにちは」
入ってきたのは、二人の男の人。
たぶん、暁くんと同じくらいの歳だと思う。