奴の俺を見る憐れんだ目に気付いてないのも、キミだけだよ。



泣けてくるったら。



「そういや、就職試験受かったんだってね。
おめでとう。」



あぁとかおうとか、微妙な返事を返す。



あのな、就職できたってことは、俺は実家を出て隣の県で一人暮らしするってことだぞ。



もうキミの近くにいれないわけ。



それわかって「応援してるよ」だなんて言ってんの?



俺、なんか嫌なんだけど。



今まで以上にすれ違いの生活になるんだぞ。



「お前、俺が出てくのよっぽど嬉しいんだな。」


「あは。」



あは、じゃねんだよ。



なんだよ、俺の心臓粉々にして楽しいかよ。



…あはって笑った顔がホントは笑ってねぇのを見つけた俺の心境。



もしかして無理して笑ってんじゃねぇかって期待してる俺の心境。



キミわかってないよね、ったくよぉ。



こっから出てく前にキミ抱きしめて好きだよって言いたいけど。



どーせ、余所余所しい態度とるんだろうから、言わない。



言えない。



だからさ、いつも言ってる「好きだよ」がホントの告白だって



いい加減、気付いてクダサイ。








fin...