ケータイ小説 野いちご

海へ...

初めての夜
大切な話

それからも、あたしとカオルは漁の後、いつも仏教の話をしていた。

カオルは、特に禅問答が好きだった。

百丈野狐や、隻手音声など、カオルがいろんな公案を出してくれて、あたしは毎日いろんなことを考えた。

あたしの霊的ステージはどんどん高まっていった。


それにしても、どうして禅僧は人をすぐに殴るのかな?

どの公案を見ても、禅僧はいつも人を殴ったり、殴られたりしている。

とても不思議だったけど、これも活作略。

弟子を悟りに導くための、大切な修行なんだって。


あたしも、カオルになら殴られてもいい。

それで悟りに近づけるなら、痛棒三十発を受けてもいい。

あたしがそんなことを言うと、カオルは大声で「アッハッハ」と笑った。

そういえば、あたしが最初に海をバカにしたときも、カオルは大声で笑ったんだった。

あの時、カオルが怒らなかったのは、仏教のおかげだったんだね。


あたしもカオルにつられてアッハッハと笑った。

すると、カオルは突然笑うのをやめて、あたしの横っ面を殴った。

あたしは、少し悟りに近付いた。

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