本当に、傍にいる。






「ねぇ、友達とかいないの?」


「陽が友達」


「はぁ。男の子とか、同じクラスの人とか」


「あー、いるけど、今は陽。」


「ふーん。今はね」









何気なく颯汰くんが傍にいることに安心感を覚えるようになっていた。








「ね、来週の体育祭。借りモノ競走でるから待機しといて」



何故かウキウキとする颯汰くん。
来週は体育祭があるらしい。
もう、そんな時期なのか。テストでいっぱいいっぱいだった。







「借りモノ競走って、私が待機する必要ある?」


「ん。お題が決まってるから」


「でもさ、」


「何が出ても俺は、陽とゴールしたいから」







嬉しくないわけではない。

あの颯汰くんにサラッとされた公開宣言から『幼児パンツ』は無くなり『ツッキーのくっつき虫』と言われるようになった。



付きまとわれてるのは私の方なのに。











颯汰くんが傍にいてくれないと少し落ち着かなくなっていた。

情けない。信用ならないのに、優しさがクセになる。








「体育祭終わったらさ」


「ん?」


「体育祭終わったら、俺と付き合って」








でも、やっぱり私はこういうのが苦手。

颯汰くんでも、無理らしい。









「ごめん、聞こえなかった」







そうやって、逃げる。

さよならって挨拶もしてないのに、逃げた。