俺たちは、一緒に電車に乗り込んだ。

市谷としゃべるの、やっぱり楽しい。

それに落ち着く。

俺は、市谷と過ごす時間を改めてかみ締めていた。


そんなとき

「あず~~!!!」

ぎゅ!!


いきなり、俺の目の前で

一人の男が市谷に抱きついた。

・・・・え?

引きつる頬。

しわのよる眉間。

はあ?

びっくりした直後、

がーんと、トンカチで頭をなぐられたような感覚をおぼえる。


だれだ、こいつ?

なんなんだ?

人違いかなんかだよな?


電車の中なのに、構わずぎゅうっと市谷を抱きしめる男。

周りの注目なんてお構いなし。

でも、その注目も時間がたてばなくなるもの。


ずっと注目しているのは俺だけ。