私は逃げるしかなかった。考える余裕など全くありはしなかった。
私は台車を放り投げ、より複雑であろう講義室がある方向に走った。
いつまでも走っていては、足音で位置が分かってしまう。
どこかに隠れて、静かに移動しなくては…
私は元の場所から全力で走り、3棟目の建物の裏側にあった大型配電盤の陰に潜んだ。
そこで無理矢理に呼吸を整えると、必死で頭を回転させた。
考えられる事は2つ。
1つは、このままキャンパス内に隠れ、大学関係者や学生が来るまでやり過ごす。
もう1つは、ここから更に全速力で走り、大学の塀を乗り越え、裏山に逃げるという選択だ。
裏山に逃げても、私の体力ではとても逃げ切れない。そうなると、隠れておいて朝までやり過ごす方が現実的かも知れない。
でも、どちらにしても根本的な解決にはならない。
それに、台車には死体が…
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