児玉くんに手を引かれて廊下を歩く。


一体何度目だろうか、この光景。


私の手をひいて、前を歩く児玉くんの顔が見えなくて。


無言で引いていかれるのを、なぜか抵抗できずに結局ついていく私がいる。


「児玉くん、どこ行くの?」


ためしにきいてみるが、返事はない。


多分、怒っている。


誰になのかわからない。

私に対してなのかもしれないし、さっきの二人とのやりとりを見てるとその二人のせいもあるかもしれない。


よくわからないまま、児玉くんについていく。

手を引かれているので見られたら恥ずかしいかと思うが、生徒がほぼ下校したり部活に行ってしまってるので、すれ違う人はほとんどいなかった。