「俺の名は月夜。
“月夜”と書いて“ナイト”と読む。」


「そして俺は人間ではない。…死神だ。」


…言っていることがすぐには理解できなかった。
誰がどう見たって彼…月夜さんは人間にしか見えなくて。

…それなのに…死神…?


確かに月夜さんは“魂をもらいに来た”と口にした。…でも…。


「信じられないって顔だな?
…でも考えてみろ。
ここは何階だ?」


…あ…そうだ。
私の部屋は二階にある。
なのに彼はここにいた。
…一体どうやって入った?
もちろん、窓の鍵だってかかっているのに。


「俺は死神の力を使いこの部屋に入り込んだ。テレポートみたいな感じにな。
そして、お前の声でお前の親が起きないよう、声を通さない結界も張った。
…普通の人間が出来ることだと思うか?」



月夜さんの言うとおりだった。
こんなに大きな声を出してもお父さんもお母さんも起きない。


それに普通の人間がテレポートみたいなことができるわけなかった。


…信じたくはなかった。
私が今、彼を“死神”と認めてしまったら…私は死ぬの?


こんなに元気なのに、この人に魂を連れて逝かれるの?


私…。