「ヒック……ヒック……」


 今、目の前で親友の蛍が泣いている。


 なんで、こうなってるのか分かんない。


 でも、確実に分かるのは。


 いけっちが関係してるってこと。



 また、蛍が傷ついている。



 すっごくムカついた。


「蛍、ちょっと行ってくるね。」


 蛍が落ち着いた所であたしは、蛍を置いて教室を出た。


 あたしが向かったのは、職員室。


 いけっちに、怒鳴りに行こうと思ったからだ。


 でも、その前に、見つけた。


「いけっち!!」


「あぁ、桜井。」


 いけっちは、疲れているような顔をしていた。


「ちょっと、来て!!」


 あたしはそう言うと、いけっちを引っ張って、裏庭へと行った。


「……んだよ」


 のん気にあくびをしているいけっちに、イラつきを覚えた。


「蛍、泣いてんだよ!!」


「……知ってる。」


「じゃあ、なんで蛍のこと気にしな……」


「俺は!!」


 いきなりいけっちが大きい声を出した。


「俺は……小泉になんかしたか?」