『ニンゲンガリニイコウヨ』



 機械音が、3ゲーム目の開始を告げる。



「人間狩りに行こうよ」



 かつてない、緊迫の波が訪れていた。そうやって機械音を繰り返すのも、不快感極まりない。


 百合香は、拳銃を持っている。もし、百合香が全員を撃てば、百合香は生き残ることが出来る。────そう、容易く、ゲームオーバーになり得るのだ、百合香さえ動けば。



『ア』


「あ…」



 自分が指名されるかもしれない。余れば自分が、殺されるかもしれない!


 機械音が指名するまでの、たった数瞬が、この上なく恐ろしい。








『ハヤマケンタ、ミヤカワカナエ』



「2人!?」



 名前を呼ばれたのは、お調子者の葉山健太と────萎縮する宮河かなえ。呼ばれたふたりも愕然としていたが、もっと混乱していたのは、ふたり以外の生徒だった。



「どういうこと!?」



 話が違う!と騒然とする。


 今まで、指名されていたのは、各ゲームで1人ずつ。しかし、この3ゲーム目では、健太とかなえの名が呼ばれた。