ケータイ小説 野いちご

【企画】魔法が醒めるとき

☆1☆



「僕は、朧月夜も好きなんですよ」


また、この話か。


「親が敵同士の相手と恋に堕ちるって話なんですけどね」


誰かと会う度に、この話が出てくる。

同じ話ばかりして……飽きないのかしらね。


「あそこまで愛された源氏が羨ましく思います」


これって、もしかしてあたしに言ってる?

いくら話す人が違えど、側に居るあたしは変わらない。


ここまで何回も言われると、まるで

“もっと僕を愛してくれ”

って聞こえてくる。


つまんない人。

もっと面白い話はないの?


あぁ、この人にそれを願った、あたしが馬鹿だったか。


はぁ。
本当に、つまんなーい。



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