side千愛実



龍牙の過去が気にならないわけじゃない。


むしろ、気になって気になって、しょうがない。


けど……。


『俺はもう、女は信じないって決めてるから』


その言葉を聞いたら、聞きたくても聞けない。


だって私は、女なんだから。



「……あみ……千愛実!」


「は、はい!」


呼ばれていることに気づいて我にかえると、龍牙とマサくんが私を見ていた。


いけない、ぼーっとしてたよ……。



「千愛実ちゃん、万引き犯とはいえ危ないから、龍牙から離れないでね」


「あ、はい!」



あれ?そういえば……。


「マサくんって、なんの為にここに来てるの?」


私の言葉に、二人が目を点にした。


そして、


「はははっ」



隣にいた龍牙が笑う。



うわっ……。笑った顔初めて見たっ……。

やっぱりかっこいい!


じゃなくて。


「なんで笑うのー?」


こっちは真面目に聞いてるのに。



「千愛実ちゃん、俺は犯人を連行するために来てるんだよ。龍牙は犯人を捕まえることはできるけど、高校生だから犯人に手錠をかけることはできないでしょ?」



あぁ!
なるほどね!



っていうか……。



「いつまで笑ってるのー!?」


隣で龍牙が笑いを堪えている。


そんなに笑えるようなこと言った?