他にもこんなのがあったわ。

クロードのもとに挑戦状が届く。

その挑戦状は私たち新聞記者のもとにもやってきた。

まるでクロードの最後でも見に来いとでも言うかのようだった。

私は彼の現れるビル廃墟の屋上で待機していた。

するとクロードが姿を現した。

それもゆっくりと、まるで夜風にでもあたりに来たかのように颯爽としていた。

そして彼は鼻先で笑うと、突然、私の方に向かって走ってきた。

「なっ・・・」

私は驚いて思わずナイフを抜こうとしたが、その前に私はナイフを取り上げられ、さらに抱き上げられてしまった。

まるで樽でも担ぐかのように私は持ち上げられると、彼はフェンスを一っ跳びし、さらにそのままビルから飛び降りたのだ。

私はあまりの恐怖に意識を失いかけた。

その背後で突然の大爆発が起こった。

私とクロードがいた場所が大爆発を引き起こしたのだ。

彼はこの状況を楽しむかのように笑っていた。

気づけば彼の背中はカイトのようなものをまとっており、空をゆっくりと移動していた。

クロードは私とクロードの体をロープで素早く縛って固定した上で、何やら無線機のようなもので突然しゃべり始めた。

「私だ、椿だ。至急、B倉庫右の作戦区域に捜査網を張れ、犯人グループが逃げられぬように慎重に行え」

彼はそういうと、ボタンを押して別のボタンを押して、今度はこう叫び始めた。

「私だ、秋田だ。至急、B倉庫左から警察隊を出動させよ。先ほど、椿から連絡があり、右の逃走網を10分で封鎖するように展開するとの連絡があった。迅速に作戦に移行せよ。狙撃犯にも連携し、サーモスコープで奴らの居場所を特定せよ。少なくとも二階に三名反応ありだ」

まるで椿という人と秋田という人の声を何のマイクも使わずに声マネだけでやり遂げているようだ。

警察の動きも把握しているようだし、しかもあの無線機で他人の回線を一瞬にして奪取しているように見えた。

一気に2つの組織を自由に操っていた。

「すごい」

私は思わずそう漏らして両手で口を抑えた。

彼はそのまま私を港で下すと、私を見て鼻先で笑って、何も挨拶なく、姿を消してしまった。

確かに冷たくて、嫌な奴。

かっこいいのは認めるけれど、女優じゃない大根役者な私には騎士道なんていらないって感じ?