朝方、リハーサルが終わり、マネージャーに車でマンションまで送ってもらった

マネージャーと一緒に家の玄関先まで行くとマネージャーが「じゃ、明日からツアーだから昼に迎えに来るわね」と言い私は、「は~い…」と返事をするとマネージャーが帰って行く

そして私が玄関のドアを開け中に入ろうとした時…

ガシッ!

突然の事に私は、「えっ…」と驚き、誰かにドアを掴まれる

「やっと…会えた…」と明希が言った

私が「明希…」と言うと悲しい顔をした明希がそこにいた

「なんでなん?なんで連絡も返してくれへんねん?」と明希が言った

私は、何も言えず無言になってると明希が「記事の事は全部嘘や…信じてや…」と言い明希は、私を抱き締める

久し振りの明希の匂い

仕事なんて忘れてしまいそうで…

怖い温もり…

「ダメ…帰って…」と私が言った

明希は、「嫌や…来瞳の記事は嘘やんな?」と言う明希の言葉に無言になる私…
「俺は信じてるで…俺は来瞳が側にいてくれなあかんねん…だから公表したいねん…」と言い明希は、腕の力を強めた

いつだって彼はそうだ…

いつだって私の事を考えてくれる…

でも私は彼に何もしてあげられない…

そんな自分が悔しくてたまらない…

だから

だからもう…

「ごめん…もう…一緒に居れない…美嘉と幸せになって…」と私は、言った

明希は、「は…なんで美嘉やねん…」と言った

「ごめん…」と私は、明希に謝った

すると明希が「意味わからへん…公表して堂々としたらええやん…だから…」と言った

私は、「ごめん…私は…事務所を裏切れない…明希だってファンが減ってしまう…やっと手に入れた場所を捨てれないよ…」と悲しく言うと明希が「俺の事は気にしなくてええねん!なっ?だから…」と言った

やっぱり彼はそう言うんだ…

「ごめん…もう…好きじゃない…」と私は、嘘を言い明希の腕をほどき、部屋に入った

私は、部屋に入ると明希に聞こえない様、声を押し殺し泣いた

ほんとは大好き…

誰のモノにもならないで…
私が欲しいモノは…

まだ、この世界に入る前の事を思い出していた

この世界に入る前、友達に誘われて行った明希のlive
明希の歌で皆が涙し、笑顔になる

そして、いつかこんなボーカリストになりたいと思った

ある日、明希を出待ちした時、交わした約束があった
私が"いつか大きくなって会いに行きます"と言うと、"言うな~自分!待ってるで!"と言った明希

「明希…」と私は、呟いた
きっと明希は、覚えていないだろう…