今夜も美女は眠れない。

「ああ…どうか私を眠らせて…」

『私ならば、あなたを眠らせる事ができます。』

美しく響く男性の声。

「誰…?」

『王子でございます。』

「王子…」

オーロラ姫は、王子と結婚したくない
という焦りがあり、眠れなくなっていたのである。


『姫。私の何処がいけなかったのでしょうか。姫につくしているつもりです。』

「辞めて…貴方とは結婚できません。」

美女は自分が姫だという現実に引き戻され、憂鬱な気分であった。

「私…嫁がなければとおもうのですが…
貴方のこと、愛せないんです…」

姫は、優柔不断な自分が嫌いだった。
王子は美男である。

だが、美男じゃないと思い込み、
結婚する人ではないと、言い聞かせて
いたのだ。

なぜ、結婚したくないのか、
姫にはわからなかった。