11月上旬

「行ってきまーす!」

あたしは、少しはねた髪の毛を
鏡で確認した後、靴を履いて家を出た。

赤いチェックのマフラーを巻いて、
鞄も急いで閉める。

「やばい、遅刻しちゃう!」

道に落ちた枯葉を踏みながら、
白い息を出して走る。

タッタッ

「はぁ、やっと駅着いた。」

階段を駆け上がり、
出発間際の電車に駆け込む。

「は…は、はあ、はあ。ふぅ。」

《発車します。駆け込み乗車はご遠慮ください。プルルルルル》

あー、あたしの事だ。
ごめんなさい…

窓の外を眺め、心の中で謝りながら、
必死に息を整えた。