それから約三時間が経ち、やっとリンが店から出てきた。


「ギャッ!……まだいたの!?心臓に悪いな!」


店の横の暗い路地に隠れてた俺を発見して短い悲鳴を上げたリン。


俺は緊張で口の左端を小さく引き上げる事しか出来なかった。


「本当に待ってると思わなかったし。んじゃ仕方ないからそこの居酒屋行こ」


リンを探しに来て真っ先に入ろうとした赤提灯。……お前とは縁があったのね。


腹をくくり直した俺は、スタスタと店の中に入っていくリンを追いかけた。


香ばしい焼鳥の匂いが充満する賑やかな店内の一番奥の席に案内される。


完全なボックス席ではないけど、一席ずつに客同士の顔が見えない程度の仕切りがついていて話しやすそうだ。